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こんにちは。最近ニュートリノに新たな型変身が発見されたとニュースになってますね。

この現象、「ニュートリノ振動」といいます。

今日は、ニュートリノ振動ってなに?ニュートリノの重さとどう関係あるの?振動したからどうなの?というところをお話ししたいとおもいます。

ニュートリノ振動っていうのは

ニュートリノの変身です。ニュートリノが飛んでいるあいだにニュートリノの型が変わって、しばらくするとまた戻ったり別の型になったり、ニュートリノの種類が振動するのです。

ニュートリノには3つの型があって、それぞれ電子型ミュー型タウ型といいます。

なぜこんな名前がついているかというと、ニュートリノが生まれるとき、電子、ミューオン、タウという素粒子のいずれかとペアでいっしょに生まれるからです。電子といっしょに生まれるニュートリノは電子型ニュートリノ、ミューオンといっしょに生まれるニュートリノはミュー型ニュートリノ・・・といったぐあいです。

↓これは、パイ中間子(クォークという素粒子二人でできている粒子を中間子といいます)という粒子が崩壊して電子型ニュートリノが生まれる場合。

つまり、ニュートリノは生まれてくるときには電子型やらミュー型やら、種類が決まっているのですが、飛行している間に別の種類に変わってはまた戻ったりします。

上の図は、電子型ニュートリノが別の型に変わってまた電子型に戻っていますが、実際はこんなに単純ではありません。3種類あるわけですから、それぞれの振動ぐあいで複雑に混合しているわけです。

これをニュートリノ混合といいます。

ニュートリノの重さとどう関係あるの?

このニュートリノ振動、ニュートリノに重さがないとおこりません

もともと、ニュートリノには重さがないと思われていました。(それは、弱い相互作用と左巻きニュートリノの関係を説明するためでしたが、それはまたの機会に)

理論的に、ニュートリノに重さがないときれいにおさまったのです。

ところが。60年代くらいから、ニュートリノのある不思議な現象が注目されはじめます。

そのころ太陽の中でつくられる電子型ニュートリノの観測がさかんでした。太陽のエネルギーは核融合でつくられます。軽い水素原子核がくっついてヘリウム原子核になるときに、重さの差分がエネルギーとなってでてきます。このとき、実は電子型ニュートリノも作られているのです。

不思議な現象・・・とはなにかといいますと、

太陽からやってくるはずの電子型ニュートリノの数が、計算値の半分くらいしかない!

ということでした。太陽の中でおこってる(はずの)核融合の反応の数は、太陽の重さや光の量から計算できます。だから太陽の核で作られているはずのニュートリノの数も計算できるのです。

それが地球で観測してみると、電子型ニュートリノの数がどうしても少ないのです。

そこでいろいろな仮説がたてられました。

太陽の中心で作られた光のエネルギーが、太陽の表面にたどり着くまでどれくらいかかるかごぞんじでしょうか。

なんと、10万年です。

ニュートリノは?

一瞬です。

太陽の中はものすごい高密度ですから、光はまわりのものにあたってはねかえったりしてなかなか表面までたどりつきません。ところがニュートリノはなんでもスルスルとすりぬけますので、一瞬で表面までたどりつき、地球までやってきます。

つまり、いま私たちが見ている太陽の光は10万年前に核で作られた光。それに対し、スーパーカミオカンデなどのニュートリノ検出器で観測されているニュートリノは直前につくられたニュートリノなのです。

その新鮮な情報をはこぶニュートリノが、光で予測されるより半減しているいうことは・・・10万年後には太陽の表面からでてくるエネルギーは半減している・・・?

ということなのでしょうか!?

いえ、それはじつに考えにくいことなのです。太陽の年齢は50億歳。死をむかえるのはあと50億年後のはず。これは、星の一生からよくわかっていることです。

たかだか10万年でエネルギー源である核融合が半減したりしないのです。

では、ほかにどんな可能性が考えられるでしょうか。

ニュートリノについての理解が間違っている?

という可能性。じつは、これが正しかったことが証明されます。ニュートリノに重さがあれば、電子型のニュートリノが他の型のニュートリノに化けて消えてしまっていると説明ができるのです。

ちなみにこのニュートリノ振動の理論は、提唱者の日本人物理学者、牧、中川、坂田三氏の名前がつけられています。

ニュートリノに重さがあると振動するわけ

ニュートリノには三つの型があるといいました。この型は「フレーバー」とよばれています。

この3フレーバーの種類分けのほかに、もう一つ「質量」によるニュートリノの分け方を考えます。

人間であれば、女性、男性、中性・・・などとする分け方と、科学者、哲学者、その他・・・などとする分け方などといろいろありますね。

ニュートリノは「フレーバー」による分け方と「質量」による分け方があると考えてください。

それぞれ3種類あって、

「フレーバー」は「電子型ニュートリノ」「ミュー型ニュートリノ」「タウ型ニュートリノ」、

「質量」は「ニュートリノ1」「ニュートリノ2」「ニュートリノ3」です。

ニュートリノ1、ニュートリノ2、ニュートリノ3は、それぞれ固有の質量を持っています。

そして、フレーバーは、ニュートリノ1、ニュートリノ2、ニュートリノ3がすこしずつ混ざってできていると考えます。

しかし、フレーバーがわかったからといって、質量はわかるわけではありません。かえって不確定になってしまいます。「女性」だからといって「その他」とはかぎらないのです。また、質量がわかると、フレーバーはわからなくなります。

これは量子的な性質で、素粒子のようなミクロな世界での、「一方の値が決まると他方の値が不確定になる」という「不確定性原理」。(かといってすべての素粒子がこの性質を持つわけではありません。たとえば電子は素粒子ですが、質量とフレーバーは同時に確定されます。)

さて、ニュートリノ1、ニュートリノ2、ニュートリノ3はそれぞれ違った重さを持っていますから、飛んでいるあいだに、速さも変わってきます

ということは、それぞれの割合が変わってくるということです。割合が変わればフレーバーも変わります。

これが、飛行しているあいだにニュートリノ変身がおこる理由なのです。

ただし、ニュートリノを粒のようにとらえていては、「振動」の説明はできません。

ニュートリノはあくまで「量子」、つまり「波の性質」ももっています。この波が干渉して弱め合ったり強め合ったりしながら飛んでいるので、いったんフレーバーが変化してまた戻ってくるという現象がおきます。

新しいニュートリノ振動とは?

ニュートリノが振動するということ、つまりニュートリノに重さがあるということは、よく知られていました。太陽ニュートリノの欠損問題もそうですが、それから次々と建設されたニュートリノ振動実験などによって詳しく検証されてきたのです。

しかし、ニュートリノのすべてが解明されたわけではありません。

3つのタイプのニュートリノがどのように混合するか、を決めるのに、6つのパラメーターが必要になります。

3つの波がどういうズレで混ざるのか(θ12、θ23、θ13)、質量の差(Δm)、そしてもうひとつCP対称性の破れ(これについてはまた後日)です。

このパラメーターがどういうふうに使われているかというと、こんなかんじ↓

赤色のν1、ν2、ν3が質量ニュートリノで、そこに左からみて、ニュートリノ1とニュートリノ2の関係ニュートリノ1とニュートリノ3の関係ニュートリノ2とニュートリノ3の関係をかけていけば、フレーバーニュートリノができあがるというわけです。

距離によってニュートリノのフレーバが何パーセント変身しているかを観測することで、この6つのパラメーターを一つ一つ決めていくことができます。これがニュートリノ振動実験です。

いままでのニュートリノ振動実験による結果はこんなかんじ↓

ニュートリノ1とニュートリノ2の関係は、スーパーカミオカンデ(日本)、カムランド(日本)、SNO(カナダ)などの太陽ニュートリノの観測により、ニュートリノ2とニュートリノ3の関係については、K2K(日本)、MINOS(アメリカ)などの加速器ニュートリノにより、よく計測されました。

残るは・・・θ13だったのです。

これはニュートリノ研究者の長年の努力にもかかわらず、なかなか決定できませんでした。

なぜかというと、とにかく小さいのです。

波のズレは、小さいとズレているのかズレていないのかなかなかわかりません。とにかく実験の誤差を小さくしないと、わずかなズレをみつけられないのです。そしてそのためには、たくさんのニュートリノを検出する必要があります。

いくらニュートリノを集めても特定できなかったので、ゼロではないかといわれはじめたくらいでした。この振動に特化した実験を行う必要があります。

というわけで、θ13検出を目的に、世界中でこぞってニュートリノ振動実験が建設されました。

代表的なものがコレ↓ (注:MINOSはすでに終わり、NOvAはまだ始まってません。θ13のみが目的でないものも含まれています)

そして今回あらたに発見されたニュートリノ振動とは・・・

このθ13のことなのです。

その結果がしかも!

「ゼロでない」

ということでした。これは大変画期的なことで、物理コミュニティーをわかせました。

なぜかというと、θ13がゼロでないと、δ(CP対称性の破れ)を測れる可能性がでてくるからです!(上の数式をもう一度ごらんください。sin0はゼロだから、θ13がゼロだとδをふくむ項が消えてしまいますね)

なぜこのCP対称性の破れが大事なのかということについては・・・

今日は林田は力つきましたので、また後日お話ししたいと思います。

ではまた〜

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