ティータイム宇宙線No.1 ~ガンマ線望遠鏡/重力波望遠鏡

みなさん、こんにちは。たいへんご無沙汰しております。仕事始め早々、相当冷え込んでおります。

さて、今回はティータイム素粒子論にかわって、ティータイム宇宙線をつくってみました。

温かくして、かおりだかいティーかコーヒーをいれてお楽しみくださいネ。

中学レベルの数学で量子テレポーテーションを理解してみよう

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10月9日にノーベル物理学賞が発表されて、量子コンピューターへの関心が高まっていますね。今回お話しする量子テレポーテーションもまた、Wineland氏やHaroche氏らの貢献した装置やしくみを使用して実験します。

量子テレポーテーションとは、前回ご紹介した量子の不思議な性質を利用して情報を伝達できるしくみのこと。ファックスのように、送られた量子情報が遠隔の場所にコピーされて届くのです。極秘情報も安全に送信でき、量子コンピューターにも利用できると期待されています。

量子テレポーテーションでは、前回お話しした量子の性質に加え、さらに不思議な現象がおきます。その現象とは、ある特殊な量子と量子の間では情報が瞬時に送られ「情報は光速を超えて送ることはできない」という法則を破ってしまう、というものです。(このため、アインシュタインは「薄気味悪い(spooky)」といって量子力学を嫌いました。)

実際のところ、通信自体が超光速になるわけではありません。量子テレポーテーションでは、送られた情報の解読のために、別経路の従来の(光などの)通信による「鍵」が必要になるからです。

しかしこの量子テレポーテーションが実験で実証されて、現在は実用化にまで手が届きそうなところまできました。量子の不思議な現象も実証されたことになります。

さて、本記事はちょっと長めです。全部読んでいただければ、どうやって量子をテレポートするのか理解できます。ちょっと頭のエクササイズをしてみたい方は紙とペンをご用意いただいて、ロジックをフォローしてみてください。(えほん素粒子論第二弾「タウ氏と小悪魔ニュートリノ」のテーマも量子テレポーテーションです。現時点ではまだ完結していませんが、よければフォローください^^)

量子テレポーテーションの概要はこう

まずニュー君リノちゃんの2人がいたとしましょう。二人はそれぞれ、ある特殊な量子を持っています。この二つの量子は、「もつれ」あっていて、一方に対する操作が、他方にも影響を与えます。(二つがどれだけ遠くに離れていても、瞬時に影響は伝達されるのです!)

さて、ニュー君はもつれた量子の一方とともに、地球の外に旅行にいきました。リノちゃんは、ある秘密をニュー君に送ろうと思います。その秘密の情報を持った量子を、リノちゃんの手元にあるもつれた量子と一緒に測定します。

その測定情報を、惑際電話でニュー君に伝えます。ここで、送らなければならない情報は2ビット(00, 01, 10, 11)。つまり、1か2か3か4かという情報です。誰かが電話を盗聴していたところで、そこに送られている情報はまるでありません。

ニュー君はリノちゃんから受けた情報を元に、手元にあるもつれ量子にある操作を行います。すると、ニュー君のもつれ量子はリノちゃんの秘密量子と全く同じ状態になるのです。

つまり、情報を送るのに、情報自体を送る必要はなく、2ビットの測定結果を送ればよいということになります。

さて、いったい何がそんなにスゴイんだ、共有したモノをあらかじめ持っているんだから、2ビットのコードがあれば送れて当然じゃないか、とお思いになるかもしれません。

しかし考えてみてください。リノちゃんが手元の量子を測定した時点で、すでにニュー君の量子はその影響を受けているのです!

けれどそのままでは、4つの状態が考えうるのです。これをリノちゃんの秘密量子の状態に絞るために、2ビットの情報が必要ということになります。

ここまで読んで、わけがわからないと思われた方はいらっしゃいますか。いったい「測定する」だとか「状態をとる」だとか「測定情報」だとか、なんの意味があってそういうややこしい言い方をするのかというと、それは、量子という不思議な性質のためです。前回記事をまだご一読いただいていない方は、まずそちらを読んでいただければその意味が明らかになるかと思います。量子ビットでは、日常の電子回路で使われるような「ON/OFF」のロジックだけでは表現できないのですね。

さて、では量子ビットからはいりましょう。

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【2012年ノーベル物理学賞】量子光学から量子コンピューターまで

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ノーベル物理学賞が発表されました!今年はDavid Wineland氏とSerge Haroche氏、量子の状態を壊さずにコントロール/観測を実現されたことによるものです。科学技術の新たなブレイクスルーと期待されている量子コンピューターの実現への大きな一歩です。

量子コンピューターとは、物質のごく小さな単位である量子の性質を利用して、とても速い計算や従来のコンピューターでは不可能な情報の伝達などを可能にするコンピューターです。しかし量子は非常に扱いづらいため、実現にはいろいろな障害があります。

量子はとても魅力的で不思議な性質をもっていますが、外界の環境(温度など)や他の粒子に影響を受けやすく、なかなか思い通りにゆきません。観測しようとして光をあてたりするだけで、量子の状態は変わってしまったりします。両氏の功績は、そんな量子を孤立させ、量子状態を保ったままコントロールしたり観測したりできるような装置を開発したことです。

そもそも量子って?

量子はよく物質の最小単位と言われますが、素粒子である必要はありません。中性子陽子電子素粒子などのサイズになると、全ての粒子が量子のふるまいをすることになります。原子核や原子、イオン(電荷をもった原子)、小さな分子でも量子的性質を示しますし、光子そうです。

「量子の性質は人間の理解を超える」とか「量子を理解している人は1人として存在しない」などと聞かれたことがあるかもしれません。それで、「無理なんだ、まだ理解できてないんだ」と考えてしまいます。でもそれは違うのです。

量子は確かに不思議な性質があります。けれどその性質を受け入れてきちんと計算すると、量子は想定通りのふるまいをします。量子力学という分野は、いくども実験に検証された確立した分野なのです(ミクロの世界を超えると限界がありますがそれはさておき)。

その不思議な性質とは、量子は測定されるまで「もやもや」とした存在、ということ。そのもやもやの状態は、確率で正確に表されます。

つまり、たとえば量子の位置を測定すると、ここに現れる確率がこれこれで、あそこに現れる確率がこれこれということを計算することができます。この確率は、波のような形で分布しているので、「量子は粒であり波である」ともいわれます。量子は測定されるまで、この波の性質を持ちます。

いや、量子はもともとある一カ所に存在していて、人間にとっては測定して初めて位置が明らかになるだけでないの?とお思いになるかもしれません。でも違うのです。量子の位置が確定するまでは、量子は波のようにふるまいます。そして確定すると、その瞬間に波はつぶれるのです。

どうしてこう考えざるをえなかったか、ということをご説明しましょう。

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ティータイム素粒子論No.4 〜ヒッグス粒子

みなさんこんにちは。

今回は、ティータイム素粒子論No.4をお届けします。このブログを立ち上げて初めてのティータイム素粒子論ですね。

香り高い紅茶かコーヒーをいれてお楽しみください!

今回のテーマはもちろん...

ヒッグス粒子!ヒッグス粒子はなにするもの?ヒッグス場とヒッグス粒子ってどう違うの?ヒッグス粒子の発見にいたる過程、そして今後。

ティータイム素粒子論のバックナンバーについては、こちらをご覧ください。

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iPhotoのフォトブックサービスでえほん素粒子論

iPhotoとは、Macを買えば標準でついてくる画像管理アプリ

使いやすいし、編集は簡単だし、仕事やプライベートの写真は、全てこのアプリで管理しています。

このiPhotoのメニューの中に、「作成」というのがあって、ここに入ると、フォトブックからグリーティングカード、カレンダーまで、作成・注文できるようになっています。テンプレートはおしゃれでいろいろ。

このうち、林田がためしてみたかったフォトブック。今回は、せっかくえほん素粒子論「タウ氏とヒッグスの神さま」が完成したので、注文してみました!

本サービスのクォリティの高さは、うわさになってますね。林田の体験としては...

1.素早い!

注文したのが金曜日。月曜日には出荷の連絡がきて、火曜日には手元に。

2.プラスチックのパッケージ

ハードカバーを注文すると、アップルマークの入った紙のカバーと表紙もついてくるようです。林田が注文したのはソフトカバーですが、一冊ずつプラスチックの袋に入れてくれていました。指紋もなく、とてもきれい。

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ヒッグス粒子発見でどう変わる?

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こんにちは。7月4日、みごと、ヒッグス粒子発見のニュースがでました!林田も自宅でセルンからの実況中継に食い入るように見入っていましたが、いやあ、CMSもATLASもみごとな結果でした。(セルンの大型ハドロンコライダー(LHC)では、二つの巨大実験CMSとATLASが同時にヒッグスを探してきました。日本はATLASに参加しています)

さて一夜あけて今日、新聞などから、ヒッグス粒子は物質の質量と関係があるらしい、というのはすでにお聞きになっているかと思います。

宇宙は「ヒッグス場」という「場」で満たされていて、それに影響を受ける素粒子が遅く重くなる、つまり質量を得る、というイメージです。(詳しくはこちら。)

ヒッグス粒子は、このヒッグス場にエネルギーを打ち込むと出てくる、と予測されていた粒子でした。そしてその粒子が発見された今、世界はどう変わったのでしょうか。

ヒッグス粒子発見で、世界はどう変わったのか

というと、実はそんなに変わっていません。というより、「まだ」変わっていません。ではなぜヒッグス祭だと騒いでいるかというと、驚いているわけではなく、感動しているのです。

ヒッグス粒子は、標準模型といわれる素粒子の振る舞いを美しくシンプルに記述したモデルで予測された素粒子の中で、唯一、未発見だったものです。

ヒッグス場は見えないけれど、ないとすると標準模型のいろいろな箇所で支障がでてきます。だからヒッグス場は確実にあるはず、でもヒッグス粒子の質量がわからないので、20年間にもわたって、いろいろなエネルギーで捜索されてきました。そして最後の最後、もうこの領域しかない、という一番難しい領域で、ひょっこりと出てきたのです。

第一に、長かった。第二に、理論によって存在が予測された粒子が、自然界を探せば出てくる

感動したのは、この2点でしょうか(少なくとも私は)。

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えほん素粒子論「タウ氏とヒッグスの神さま」完成

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こんにちは。ヒッグス粒子という素粒子発見の発表なるかも?と話題になっていますね。

発表はここ数日でされる予定。発見なれば、素粒子界はヒッグス祭になります!

というわけで、ヒッグスをテーマにした絵本を完成させましたので、ぜひティータイムにごらんくださいネ!

冒険好きなお子さまにもぜひよみきかせてあげてください^^

えほん素粒子論「タウ氏とヒッグスの神さま」

注)この物語はフィクションです。ご意見/ご感想おまちしております!

ヒッグス粒子とは、素粒子が質量をえるしくみを解明するために、物理学者が作り出そうとしている素粒子です。どこで作られているかというと、スイスとフランスの国境にある、セルン研究所のLHCという一周30キロメートルの円形の大型加速器の中。この加速器は、地下100メートルのところにうめられています。

素粒子が質量をえるしくみ

というのは、つまりこういうことです。

1.素粒子に「質量がある」とは、「光速よりもおそくなることができる能力」であると考えます。質量ゼロの光は光速で飛びますね。

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ニュートリノの速度、修正へ?

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光速を超える実験結果がえられたとされるニュートリノ。この実験結果が修正され、光速は超えていなかったというニュースが最近ありました。

実はこれは、物理コミュニティーのなかではすでに2ヶ月まえの4月上旬にほぼ解決済みとされていました。

ニュートリノはたしかに、光速を超えていません!

今回のニュースは、その後5月10日にはじまった最終追試の結果をうけてのもだとおもわれます。が、こちらの発表自体は明日8日にされるはずです。

では、なぜこの超光速問題がすでに解決済みとされているのか、を今日はお話ししたいとおもいます。

超光速ニュートリノ発表後のさまざまな検証

昨年9月にイタリアのOPERA実験が超光速ニュートリノの実験結果を発表してから、さまざまな検証がおこなわれてきました。

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ニュートリノに新たな型変身?〜ニュートリノ振動〜

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こんにちは。最近ニュートリノに新たな型変身が発見されたとニュースになってますね。

この現象、「ニュートリノ振動」といいます。

今日は、ニュートリノ振動ってなに?ニュートリノの重さとどう関係あるの?振動したからどうなの?というところをお話ししたいとおもいます。

ニュートリノ振動っていうのは

ニュートリノの変身です。ニュートリノが飛んでいるあいだにニュートリノの型が変わって、しばらくするとまた戻ったり別の型になったり、ニュートリノの種類が振動するのです。

ニュートリノには3つの型があって、それぞれ電子型ミュー型タウ型といいます。

なぜこんな名前がついているかというと、ニュートリノが生まれるとき、電子、ミューオン、タウという素粒子のいずれかとペアでいっしょに生まれるからです。電子といっしょに生まれるニュートリノは電子型ニュートリノ、ミューオンといっしょに生まれるニュートリノはミュー型ニュートリノ・・・といったぐあいです。

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